
株式会社植木組
[東証スタンダード:1867]
マネジメントテーマ
組織や文化、ガバナンスにまで目を向けた多角的な視点がERPシステムを企業に根付かせる
株式会社植木組は、1885年に新潟で創業して以来、東日本エリアを中心に道路やダムなどのライフライン関連の工事及び建築事業を展開してきました。「明日を創造、常に挑戦、一緒に感動」という理念の下、現在も新領域への挑戦を続けており、近年では、ICTなどの建設新技術の積極的な活用とDX推進にも注力しています。
案件概要
課題
- ・基幹システムの老朽化に伴うシステム刷新の必要性ならびに業務効率化を見据えたパッケージ標準機能を活用した業務フローの再整備と再構築
実施サービス
- ・業務およびシステム活用についての現状分析
- ・次期システム構想における課題抽出およびロードマップ策定、システム選定支援
効果
- ・工事管理システムおよび会計システムにおけるユーザ評価軸と機能評価軸の明確化
- ・ベンダー選定の早期化
- ・全社へのシステム浸透および社員の意識改革

お話しを伺った方
- 株式会社植木組
取締役専務執行役員 管理統括部長 兼 総務部長 - 植木 豊 様
- 総務部 情報システム担当
- 大掛 秀明 様
GWP
- ERPコンサルティング1部 シニアマネージャー
- 名和 健人
- ERPコンサルティング1部 コンサルタント
- 鈴木 早百合
- 肩書・経歴はインタビュー時のものです。(以下敬称略)
ご担当者の声
依頼背景
基幹システムの刷新に求められた、システム・組織・文化を俯瞰する視点
- 名和
基幹システムのリニューアルをご依頼されてから約6ヶ月が経過し、現在はベンダー選定のフェーズに進んでおります。まず、刷新をご検討された背景についてお聞かせいただけますか。
- 植木
現行システムは、すでに20年ほど使用しているスクラッチシステムです。当たり前ですが、導入当初の状況にベストな状態で作られたシステムのため、環境が変わるたび小規模な改修を繰り返す必要がありました。結果としてシステムは徐々に複雑化し、担当者への依存度も高まっていきます。その影響で法律改正などの対応の際は後任担当者では事情が分からない事態も発生しました。こうした課題を踏まえ、持続性に重きを置いた基幹システムへのリニューアルを目指すプロジェクトが、3年ほど前に立ち上がりました。
(植木組 植木氏)- 大掛
当初はグループ会社と連携して進めていましたが、基幹システムの入れ替えにはシステムのみならず、組織や文化、ガバナンスまでを俯瞰する複合的な知見が不可欠であると痛感しました。
今回、植木専務が着任されたタイミングもあり、体制を一新し始動することとなりました。- 植木
着任時から本プロジェクトを最重要事項として推進してまいりました。私自身はICT(情報通信技術)の専門家ではありませんが、プロジェクトマネージャーとして全体を統括し、実務は大掛に一任して進めております。
- 大掛
プロジェクトを推進していくにあたり、第三者の目線でPMO支援いただけるコンサルティング会社の選定から着手しました。幅広い視点と深い知見、強い推進力を兼ね備えたパートナーを、知人やインターネットなどあらゆるネットワークを活用して探しました。その中で出会ったのがグローウィン・パートナーズ(以下、GWP)だったのです。
パートナー選定の決め手は、伴走型の姿勢と迅速なレスポンス
- 鈴木
そのような紆余曲折があった中で、私たちにご依頼いただき心より感謝申し上げます。数あるコンサルティング会社の中から、弊社をお選びいただいた理由をお聞かせください。
- 大掛
ホームページから問い合わせをした際、まずレスポンスの速さに感銘を受けました。また、初めての打ち合わせの際には、当社と同じ目線で課題を考えてくださる姿勢が印象的でした。そのため、課題感の共有も非常にスムーズでしたね。
(植木組 大掛氏)- 名和
弊社メンバーの中には、かつて植木様、大掛様と同様に発注側の立場を経験した者もおります。そのため、お二人のご状況やご心情を理解しやすかったのかもしれません。
- 植木
最終的な選定にあたってはコンペティションを実施しましたが、GWPのご提案は非常に分かりやすく、実際の推進イメージが具体的に描ける内容でした。細かなご質問にも、円滑なコミュニケーションでお答えいただけました。
- 鈴木
そのようにご評価いただき、誠にありがとうございます。GWPでは「万事我事」という考えを大切にしており、徹底した顧客目線で信頼関係を築きながら、提案にとどまらず行動も共にしています。私たちもお二人のお気持ちに寄り添い、同じ目線・同じ思いで取り組めるよう努めています。
(グローウィン・パートナーズ 鈴木)- 植木
社内の主担当は私と大掛の2名のみであり、リソースやスキル、マネジメント面が十分とは言えません。同じ目線で取り組む第三者の存在は非常に心強く、客観的なご意見をいただくことで経営層や社員への説明も円滑に進み、合意形成がスムーズに図れました。
支援結果
スクラッチシステムからERPパッケージへの円滑な移行を目指して
- 鈴木
ご依頼に際し、不安に感じられた点はございましたか。
- 植木
私自身に特別な不安はありませんでしたが、頭の片隅には「他の経営層や社員はGWPをどう受け止めるだろうか」という思いがありました。
特に、地元新潟ではなく東京からコンサルティング会社を招いたことについては、さまざまな見方があるのではないかと感じていました。そのような中で、GWPの皆様は常に良好な関係づくりを意識してくださり、週の半分は常駐し、各部署との打ち合わせにも積極的に参加していただきました。プロジェクト開始時には「各統括部長の皆様をお集めいただき、お話しさせてください」とご提案いただいたことも印象的で信頼関係を築こうとする真摯さが伝わってきました。
- 名和
建設業の現場感を把握し、御社に馴染むためにも、顔を見て話すコミュニケーションを重視しました。結果的に各レイヤーの課題を直接伺うこともできました。
また今回はスクラッチシステムからERPパッケージへの移行ということで、現場の皆様にもご不安があったかと存じますが、社内の反応はいかがでしたか。
- 大掛
その点は、植木も心配しており「現場の声をしっかり拾い上げ、システムや業務に反映するように」と指示を受けています。社内を巻き込むためにも、まずはERPパッケージへの理解促進に取り組みました。スクラッチシステムで開発された当社の既存システムは通常のERPパッケージシステムより当社にフィットして作られているため、一般的な工事原価管理ソフトを知り標準を会社全体で理解する必要がありました。
- 植木
このフェーズでは、GWPからも印象に残る提案をいただきました。
中でも新鮮だったのは、「RFP(提案依頼書)の作成はやめましょう」というご提案です。RFPの作成を当初は検討しておりましたが、RFPは時に理想ばかりが膨らみ、現実との乖離を生んでしまうことがあります。
そこで、ベンダーを2社に絞り、両システムの詳細比較を実施。結果として、無闇に多くを比較する必要がなくなり、システムや業務の“標準”に対する理解を会社全体で効率的に深めることができました。- 名和
御社の場合は独自に開発されたシステムを利用していることが前提だったので、全社を巻き込みつつも、パッケージ標準に沿った業務フローが描きやすいのは本ご提案内容と考えております。ご理解いただき感謝しております。
- 植木
すでにデモによるフィット&ギャップ分析を実施し、課題抽出や概算見積もりの精査まで進んでいます。選定に直結するフェーズへ早期に移行できたことは、プロジェクトを成功に導く上で大きな成果だと感じています。
経営層から現場まで参画する大規模プロジェクトへ
- 鈴木
プロジェクトが動き始めてから非常にスピーディにプロジェクトが進行している印象です。ご苦労された点はございますか。
- 大掛
このスピード感だと、ベンダーとの1回ごとの打ち合わせの密度が高くなります。そのため、管理職や実務担当者にも同席をしていただき、時には3時間に及ぶ会議となることもあるので、スケジュール調整には苦労していますね。
- 植木
若手社員の中には、本業とは異なる経験を楽しんでいる者もいるようです。また、GWPの頼もしさに信頼を寄せる声も聞かれました。
(植木組 植木氏)- 鈴木
ありがたいお言葉を頂戴し、光栄です。プロジェクトに関わる社員の方はどれくらいいらっしゃるのでしょうか。
- 大掛
60名ほどですね。全社員が600名ほどなので、約1割に相当します。現行システムの反省から「自分たち流ではなく、パッケージ標準に合わせる」いわゆる“Fit to Standard方針”を掲げており、業務に携わる社員には十分な理解を求めています。
- 名和
社員の皆様が積極的にご参加くださり、その理解の速さにも驚いています。実務を想定した高度なご質問もいただくようになりました。
現在プロジェクトは重要な局面です。私も常駐日数を増やし、週5日体制でご支援しております。- 大掛
基幹システムは、企業文化の一部ともなり得るものです。「一方的に決められた」と感じることなく、全社員が納得できる形で進めたいと考えています。そのため、部門全員の参加をお願いすることもあります。それほど重要なプロジェクトだと認識しています。
今後の展望
経営計画実現のため、システム以外の領域も整備していく
- 名和
大掛さんから「文化」というお話しもありましたが、基幹システムが会社に根付いていく上で重要な視点だと感じます。
- 植木
名和さんは、ガバナンスや文化にも踏み込んでご提案くださいますね。
- 名和
新しいシステムを活用する上では、従来の文化にも変革が求められる場合があります。現状、性善説に立ったシステムや業務フローが一部残っており、その認識のままでは新システムが「使いにくい」と評価される可能性もあるでしょう。そのため、システム設計のコンサルティングにとどまらず、文化や組織、職務分掌についてもご提案させていただいています。システム刷新を機に、組織の各要素の整合性を図っていただければと存じます。
(グローウィン・パートナーズ 名和)- 植木
システムの刷新は、企業経営の根幹であるヒト・モノ・カネ・情報のあり方を変革するものですからね。今回だけで終わるものではなく、最終的には組織やガバナンスにも着手する必要があると思います。
- 大掛
これを機に、ナレッジの平準化も目指していきたいと考えています。どの社員が業務を担当しても、一定の品質を維持できる体制を構築したいですね。
- 植木
今後、人口減少していることを鑑みると慢性的な人材不足も避けられません。若手を積極的に登用するため、人事制度の見直しも始めています。また、新たな3ヶ年の中期経営計画もスタートいたしました。そこでは「営業力の強化」「技術力の強化」「人財力の強化」を掲げており、今回の基幹システムの刷新や人事制度の見直しは会社の成長に向けた基盤作りとなる重要な取り組みです
- 名和
中期経営計画の実現にあたり、基幹システム刷新が社員の皆様に新たな方針へ意識を向けていただくきっかけとなればと考えています。ツールを適切に活用いただけるよう、今後も基幹システムの導入・定着を支援してまいります。

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